○ニーオークション

かつて、某大手進学塾で講師をしていた頃。

配属先の教室長(Kさん)が、突如いなくなった。

体調不良で異動とか、明確な説明もなく、本当に突然だった。風のウワサで他教室で講師からやり直している、ということを聞いた。

二年くらいした頃。
全講師参加の集まりで、たまたまKさんと食事の席が近くなり、久しぶりに話す機会が出来た。

Kさんが、まだこの会社に所属していたことに驚きつつも(前年の同じ集まりでは見かけなかったこともあり、お辞めになったと思っていた)、

何気ない会話の流れで、当時の突然の異動の話になった。ご本人から聞けるとは思ってなかったので、逆に覚えている。

突然の配置転換は、

ノルマである入会生徒数を稼ぐ目的で「体験生徒の名前を無断で」借り、Kさん自身が支払いをした

件を咎められたこと。「クビになってもおかしくなかった」らしい。同じ教室にいた私だからか、思いの外すんなり教えてくれた。



Kさんは、人望も意欲も、保護者からの信頼も厚い室長先生だったので、

会社のノルマがヒトを壊す現実に、恐ろしくなってしまった。

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自己破産の現場 (角川oneテーマ21)

自己破産の現場 (角川oneテーマ21)

の『第一章・現実編』で出てくる、

名義貸し─営業成績の欲しい担当者が、顧客に名前だけ借りて、支払いは自分自身が行う─の例を見て、

当時のことを思い出し、ブルブルした、という話。

つながりつながり。