- 作者: 中島義道
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2003/02/28
- メディア: 文庫
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我が子は保育所に通っている。
その保育所の広間にはピアノが1台ある。
我が子はピアノ(の鍵盤を叩くこと)に興味があるようだ。
しかし。
そのピアノは、仮に保護者が横についていても使ってはならないそうだ。
「他の子がマネするといけないから」
という釈然としない理由で。そこには、
なぜマネされると困るのか
という、子ども本人が一番気になる理由が欠けている。
◆◆◆
我が家の近くに老人施設がある。
その施設の広間には電子ピアノが1台ある。
我が子は電子ピアノに興味があるようだ。
しかし。
私が使用交渉したところ、その電子ピアノは誰も使ってはならないそうだ。
「カフェの開いてる時間に使えますか」
「併設のカフェ(月曜のみ、正午あたりの四時間のみ)に来るご年配がびっくりしちゃうんで…」
「では、カフェの開いてない時間帯ならどうですか」
「外部の方が使うのはイベント(年一回あるかもわからないような)のみ、なので」
という、体よく追い返すだけの理由をのべなかがら。そこには、
住人のご年配たちですら使わない(使わせない?)電子ピアノ
になんの疑問も持たないという、職員の意識の高さ(←皮肉です)が見えている。
◆◆◆
我が家の近くに公民館がある。
地域サークルでよく使う広間に、ピアノが1台ある。
我が子はピアノに興味がある。
しかし。
興味のみでは使わせてはもらえないようだ。
私が職員に、使用条件を確認したところ、
「個人ではつかえません」
「サークル活動ならばつかえます」
と言うのでサークルとしての最低人数などを問うと、
「人数の規定はありません」
「が、サークルかどうかは館長が判断します(!)」
などと、諦めるように促すような口振り。ここには、
公共施設は“家族では使わせない”
ということを頑なに守り続ける、無思考な大人しか働いていない。
◆◆◆
彼らは
本当は
何を心配しているのだろう。
…もしかして、
この国には。
ピアノは習い事でするもの
という決まりでもあるのではないか。
であれば、ピアノ講師の親の元にでも生まれない限り、貧困家庭はピアノの1つもいじれない。音楽に対するちょっとした才能も、お金がないと見いだす機会すら与えられない。
場所代だけ支払って、ただ好きなように弾きたい人間は認めないのだ。
◆◆◆
私は、我が子にピアニストになってほしいわけではないし、
脳にいいとか指先を使わせたい、とかの教育方針も皆無だ。
だから、基礎から正しい指使いをすることなど求めてない。
仮に今後、我が子が「ピアニストになった」としても、
私が骨身を削ってレッスン代を稼ぎなからピアノ教室に通わせる、といった美談など要らない。子どもを利用するような自己顕示欲はない。
いま
この時
我が子の
ただただ「楽しい」という気持ち
それを尊重したいだけ。
誰もわかってはくれないのか
つながりつながり。