ある生活保護受給者の手記(“捕捉率”はニュースにしない)

(続き。この物語はフィクションです。)

もう一つ、知られていないのは
医療券を使える医療機関に限りがあること。

私は、行きつけの歯医者が保護受給者を扱っておらず、保護受給以来歯医者に行けなくなりました。

実費(保険なし)なら受診可能かもしれませんが、そんなお金があれは生活保護など申請しないわけで。

妻も同じ歯医者でしたが…。

妊娠・出産時に歯が磨けず、悪化した虫歯が限界で、私のように歯磨きで予防できる状況にありませんでした。

やむを得ず近所の別の歯医者(保護受給者受け入れ可能な)に何件か行きましたが…。

昨今の歯医者の乱立に見られるように、

治療予定の歯を間違える歯医者とか(論外)、

一つの歯の治療に一ヶ月かけたり(小学校の嘱託医ですよ?)する歯医者とか。


つまり、医療費無料と引き換えに、

具合悪くても病院に行きづらくなる空気をそこここに漂わせ、

我々受給者の大切な時間を不当に奪っていく。

福祉事務所の目指す“自立”とは何?
自分で考えるための大切な時間を奪ってどうするの?

よくテレビで少年院のドキュメントとか見るけど、あの中に稀有な才能を持っている人達がいる可能性を排除してるかのような規律とスケジュール。

国の人口減ってるのに、人的資源を活用する気がないのが残念でならない。

◆◆◆◆◆◆

また、実は
生活保護は申請自由

であることが、あまり知られていない。書類さえそろえれば、大富豪でも申請できる。
※もちろん調査の上、資産があれば申請しても受給にはいたらないわけですが。

毎日カツカツで暮らしている人が、ネット上で「保護受給者など無能で努力しない人間に、住民税の免除や医療費無料など不公平」とバッシングする例を度々見かけますが。

そんなこと妬むくらいなら、

自分も申請しましょう。

事実、生活保護の捕捉率は低い(10%台)。それは

保護すべき経済状況にもかかわらず、保護に至っていない家庭の割合が高い

ということ。生活保護バッシングしている人達の中にも、受理される人がたくさんいるはずなのだ。


(続く)