ある生活保護受給者の手記(“医療費無料”の罠)

(続き。この物語はフィクションです。)

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受給者は受刑者だ

のスローガンのもと、今日も働き続ける福祉事務所のケースワーカーと医療従事者たち。そして、悪意すら感じさせるような報道をするメディア……。そのせいで、大きな勘違いをしている人が一般の方々にも多い。

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よく生活保護受給者は医療費無料でズルい、と言われる。

しかし、実体は前述のように
医療券が必要
なため、さまざまな原則(というか、嫌がらせ)が存在する。

まず、医療券をもらうための
役所への交通費は支給されない

自家用車は実質、所有を禁じられているので(そんな余裕あるなら売れ、ってことらしい。所有しているとそもそも生活保護の申請が通らない)、選択肢にすら含まれない。


急な出費は“100円”でも多く感じる生活である上に、この緊急事態(通院)のためにレンタカーを借りるのも時間的におかしな話で。

私の住まいからのバスは、
・歩いて20分のバス停(役所方面直通は1日に3本ほどなので、体調悪いとまず乗れない)
・直通逃すと乗り換え(一回。しかし、11時〜13時の間はバスそのものがほぼ無い)
のため、往復800円はかかってしまう。しかも行き帰りで完璧にタイミングを合わせない限り、書類出してもらう時間込みで二時間〜三時間は費やす。そこから最寄りの病院に向かうと、ヘタすると診療時間内に間に合わない可能性も…疲れてしょうがない。

もちろん、(晴れていれば)自転車という選択肢もあるが、体力も使うため、
・晴れる
・家族が全員健康(え?)
・自分も健康(あれ?)
という条件が必要なため

病院行くには健康でなければならない。

(続く)