ある生活保護受給者の手記(「噴火」)

(この物語はフィクションです)

生活保護を受給しはじめて約2年。

妻の出産と前後して、私の会社が倒産。妻の病気の悪化が重なり、福祉事務所のいわゆる“水際作戦”なども実際に体験しつつ、なんとか受給できた。

受給開始当初、「日本の憲法に“生存権”があって良かった」と思っていた。しかし、“生存権”を含む「基本的人権の尊重」が建前に過ぎないことを、私はすぐに知ることになる。

◆◆◆◆◆◆
ある土曜日の午後。

ここ数日様子を見ていた目の充血がひどく、我慢しきれなくなった。

既に午前中には痛みが増していたが、洗濯・炊事をした上で、妻の実家との交渉(子供を預かってもらう)し、なんとか午後すぐの診療にこぎつけた。が、しかし。

受付「医療券(診療依頼書とも言う。医療費が無料になる)が無い場合、実費での支払いのあと、後日医療券をお持ちになった際の返金になります」
私「?いくらくらいかかるのですか?」
受付「10000円くらいです」
私「!!いえ、それでは生活に支障がでます。他の医療機関でも、休日診療はこの証明書(保護の決定通知書)で一旦診察を受け、後日、福祉事務所から医療券を(医院に)郵送してもらっているんですけど。」
受付「いえ、その“福祉事務所”から、(受給者には)一旦実費で支払わせてくださいと指示がきているのです」
私「?????」
(続く)